写真・年表に見る京都ホテル100年の歩み

1931(昭和6)年―1940(昭和15)年

1931
(昭和6)年
  • 1月28日 ダグラス・フェアバンクス、上山草人ら来館。歓迎晩餐舞踏会催される

満州事変勃発でアメリカ観光団が減少

1932
(昭和7)年
  • 1月14日 ハリウッド俳優ロナルド・コールマン、リチャード・バーセルメス、来館
  • 10月26日 謝介石父子、来館

■世界的不況、イギリスの金本位制停止、満州及び内蒙古の時局の緊張で外国観光客が減少。この頃から京都ロータリークラブの活動盛ん(幹事・大塚常吉)

1933
(昭和8)年
  • 3月3日 文豪バーナード・ショウ来館
  • 8月 みどり丸琵琶湖納涼会
  • 10月 日本デザイナークラブ認可プロファッションモデル発表会開催
  • 11月21日 無線王マルコーニ候夫妻、来館
  • 12月2日 アメリカジャズ界の王者ジェリー・ウェップダンスオーケストラ、京都ホテルで演奏(関西で初めて)。クリスマス会員券発売

■国際的不況、満州問題、アメリカ大統領選挙等のため、アメリカ人の旅行者激減。
外国人宿泊者増加、2,400名中イギリス人1,100名、アメリカ人500名であった。

1934
(昭和9)年
  • 2月 各ホテルとも結婚披露宴で大忙し。京都ホテルも1日6、7組の披露宴
  • 11月 アメリカのホームラン王ベーブ・ルース来館

■わが国の円価の対外為替率低落による外国人客の増加と内地景気回復

1935
(昭和10)年
  • 5月4日 梨本宮守正王殿下、来館
  • 5月4日 ロータリー大会午餐会開催

■為替安による好景気
■満州国皇帝陛下、アメリカ庭園クラブ会員一行他多数、世界観光団の入洛あり。この年、京都の3ホテルに宿泊の外国人は11,117名に及ぶ
■ニューグリルの増築

1936
(昭和11)年
  • 2月8日 山の王者アーノルド・ファンク博士一行、来館
  • 8月25日 巨匠ジョゼフ・フォン・スタバーグ夫妻、来館
  • 11月 鉄道省より志賀高原に新設の観光ホテル経営を打診される(後の志賀高原温泉ホテル)
1937
(昭和12)年
  • 1月1日 長野県から「志賀高原温泉ホテル」の経営委託を受諾。一部開業
  • 3月1日 フィリピンのケソン大統領夫妻、来館
  • 3月 ベルギー皇帝令嬢夫妻、京都ロータリークラブ主催の歓迎会へ出席
  • 6月 志賀高原温泉ホテル全館完成、開業披露
  • 11月17日 満州国張総理、来館

■アメリカ大統領選挙、太平洋岸アメリカ船員のストライキによりアメリカ人客減少。イギリス人の入洛、なお頻繁

1938
(昭和13)年
  • 3月 照宮成子内親王殿下、8日間宿泊
  • 9月30日 故多嘉王殿下一周年祭に出席のため、四殿下、李王妃、賀陽宮・同妃、梨本宮・同妃、ご一行、来館
  • 11月 創業以来の別棟2階建洋館を売却(197坪)、井上武夫転住

■日支事変勃発、内外人宿泊者漸減
■皇族方の滞在、相次ぐ。また午餐会・歓迎会などの宴会、盛ん

1939
(昭和14)年
  • 1月18日 東久邇中将宮殿下、来館
  • 5月29日 東久邇宮殿下、来館
  • 11月16日 賀陽宮邦壽王殿下、来館
  • 11月27日 伏見軍令部総長宮殿下、来館
  • 12月 井上武夫代表取締役、井上勝太郎取締役、業績不振の責任をとり辞任

■諸物価騰貴、ホテル業受難時代到来
■この年、京都ロータリー倶楽部解散(水曜会として例会存続)

1940
(昭和15)年
  • 7月12日 東久邇大将宮殿下、来館
  • 9月5日 既存洗濯工場を譲り受け、直営とする
  • 10月30日 及川海相、来館

■七七禁令(奢多品等製造販売禁止)。九一禁令(料理など販売制限)。青少年雇入制限令
■この頃から、軍人・軍需成金などの利用が増える
■平和産業の各層に好況あり。諸材料入手困難、従業員補充難

<1931-1940>

■世相

軍歌の響きの中に何もかもが呑まれてゆく。もうハイカラもモダンもない。日本精神と大和魂が日本中に満ちあふれ、わずかに子どもたちには黄金バットやのらくろが残された。

満州事変、日華事変という「戦争でない戦争」が戦われ、国内では五・一五事件、二・二六事件。

大東亜共栄圏の理想は高らかだったが、家庭も職場も、もちろんホテルもまず追われたのは食糧の確保であった。

■流行語
  • 男子の本懐
    (浜口首相遭難の弁)
  • 天国に結ぶ恋
    (坂田山心中の見出し)
  • 挙国一致
  • 「話せばわかる」
  • 「問答無用」
    (犬養首相と五・一五反乱軍)
  • 非常時
  • アカ
  • どこまで続くぬかるみぞ
  • 転向
  • シェイは丹下、名はシャ膳
    (大河内伝次郎)
  • 今からでも遅くない
    (二・二六事件の時の反乱軍向け投降ビラから)
  • 暁の超特急
    (戦前の名スプリンター、吉岡隆徳)
  • ガンバレ、前畑ガンバレ
    (ベルリン五輪中継)
  • 代用品
  • 総動員
  • 馬鹿は死ななきゃなおらない
    (広沢虎造の浪曲から)
  • ぜいたくは敵だ
  • 複雑怪奇
    (平沢首相の言葉から)
  • バスに乗り遅れるな
  • 隣組
  • 胸の痛みに堪えかねて
    (湖畔の宿)

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